連載コラム⑨介護コンサルタント高山善文「ホームを決める場合には最低3カ所の情報収集を」

 11月11日は、2008年に厚生労働省が制定した「介護の日」でした。内閣府の「令和3年版高齢社会白書」によると、介護保険制度で要介護又は要支援の認定を受けた方は、平成30年度末で645万人余りとなっており、この10年間で175万人余り増加しています。また、介護が必要になった主な原因は、1位「認知症」、2位「脳血管疾患(脳卒中)」、3位「高齢による衰弱」、4位「骨折・転倒」となっています。近年、要介護高齢者の増加に伴い、株式会社等が運営する有料老人ホームや、サービス付き高齢者向け住宅の入居定員が増加しています。2019年度のデータでは、有料老人ホームの入居定員数(57万3千人)が公的なホームの代表格である特別養護老人ホームの定員数(56万9千人)を上回りました。高齢者ホームの定員数が増えたことにより、自分の希望に合ったホームを選ぶことができる時代になりました。


 しかし、私たちは「選択肢が多すぎると、望ましい選択をすることが難しくなる」という傾向があるため、どのように選ぶことが適切なのか悩ましいところです。特に高齢者ホームの入居選択は、(在宅介護か施設介護かという)切迫した状況下において迫られる場合が多く、介護サービスの質も「入居してみなければわからない」という場合が多々あります。


 切迫した状況下でのホームの選択を回避するためには、時間があるときに事前準備をしておく必要があります。希望するホームを事前にピックアップしておくことが重要です。筆者は、最低3カ所程度のホームを選び、「情報収集」と「見学」することをおすすめしています。「情報収集」では、気になったホームに資料請求を行い、ホームの「特徴」や「金額」を確認します。特徴とは、そのホームが力を入れているサービスのことになります。例えば、認知症の方に特別なプログラムを実施している、リハビリテーションを毎日実施している、センサー機器によって24時間見守りをしている、食事のメニューに力を入れている等のことです。「金額」については資料請求だけではわからない場合も多いため、直接ホームの担当者に、入居する本人と同様の疾病・要介護度の方を例とした「支払い明細額」を聞いてみることも一案です。


 また、気に入ったホームが見つかったとしても、ホームでは空室のあるタイミングや、持病によっては受け入れができない場合もあるので注意が必要です。



たかやま・よしふみ/1966年生まれ。

介護現場での豊富な経験を基に、介護事業者のコンサルティングを手掛ける。講演や執筆

活動に加え、介護支援専門員、東京都福祉サービス第三者評価者としても活動。ティー・オー・エス株式会社代表取締役。


【主な著書】『これ一冊でわかる!介護の現場と業界のしくみ』(ナツメ社)、『図解即戦力 介護ビジネス業界の仕組みと仕事がこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)など。一般の方向けに介護のしくみをわかり易く説明した『介護のしくみチャンネル』をYouTube にて配信している。

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