介護職員の配置基準緩和の問題点

政府は2月7日の規制改革推進会議の作業部会で、介護人材の不足に対応するため現在の基準では介護施設の3人の入居者につき1人の介護職員の配置を緩和する本格的な検討に入ったと一部メディア(2月8日付日本経済新聞、読売新聞)が報道した。


厚労省の推計によると65歳以上の高齢者人口がピークを迎える18年後の40年度には69万人の介護職員を増やす必要があり、見守りセンサーや介護ロボットといった情報通信技術(ICT)の活用を図り、今年度、厚労省が3月に公募した施設で実証事業を実施し、2年後の24年度介護報酬改定に向けて結論を出したい意向だ。


情報通信技術(ICT)の活用による介護職員の人員配置基準の緩和には経団連(会長・十倉雅和・住友化学会長)も「Society 5.0時代のヘルスケアⅢ」の中で提言している。しかしながら、民間の介護事業者大手4社の施設数は全体の1割にも満たず、かつその他の介護事業者の大半は社会福祉法人や中小企業が担っている現状を考えれば人材やコストの点で実現性のハードルは高いと言わざるを得ない。


本紙でもすでに指摘している通り、認知症など要介護度の高い入居者を多く抱えている介護現場では2~2.5人体制を導入しているのが現状で配置基準の緩和は課題が多い。


2022年度にも65歳以上の人口が全体の14%を超え、高齢化社会になる中国では介護について90%を在宅介護、7%を地域で介護、3%を施設介護とする「9073」というスローガンを掲げており、90%の在宅介護を実現するためにハイテク技術を応用した介護システム「スマート養老」を目指すとしている。


わが国でも施設介護を受けられる高齢者の割合は、本紙の推計で28%であり、7割の在宅介護にこそ情報通信技術(ICT)を活用する方法を検討すべきではないだろうか。


経団連「society5.0時代のヘルスケアⅢ」ホームぺージより

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