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宝田明さん急逝。知られざるロータリアンとしての一面

映画「ゴジラ」や数々のミュージカルで知られる俳優の宝田明さんが急逝した。87歳だった。芸能活動については各スポーツ紙など宝田さんを語るにふさわしい人がいるので、ここでは芸能活動以外の宝田さんの一面を紹介したい。


筆者が宝田さんと初めて出会ったのは宝田さんも会員であった東京池袋ロータリークラブ(例会場:東京都豊島区)の例会に初めて出席した2001年のことであった。初めて例会に参加したことで緊張して例会場の隅のテーブルに着席していた新参者の私に宝田さんはわざわざ声を掛けてくれた。約60名の会員の中で、その日、声を掛けていただいたのは持田製薬(当時)会長の今は亡き渡辺進氏の2人だけだった。

当時、宝田さんは66歳。以来21年間のお付き合いが始まった。


ロータリークラブは1905年の創設で世界に122万人の会員を擁する社会奉仕団体で、34の管理地区があり、日本人会員の提唱で始まったポリオ撲滅にWHOとともに貢献したことで知られ、会員はロータリアンと呼ばれる。毎週開かれる例会では会員がロータリーソングを歌う習わしがあるが多忙なスケジュールをぬって例会に出席された時は、大スターでありながら自らソングリーダーを買って出るなど奉仕精神にあふれるロータリアンであった。


世界中のロータリークラブでは、「クラブ奉仕」「社会奉仕」「国際奉仕」「職業奉仕」「青少年奉仕」を「5大奉仕」として活動に取り組んでいるが、自らソングリーダーを買って出るのは宝田さんにとって、まさに「職業奉仕」の実践なのである。


東京都豊島区が原産地で日本を代表するサクラの「ソメイヨシノ」にちなんだ豊島区観光協会主催の「ソメイヨシノ桜の観光大使」コンテストでは、2008年の第1回より審査委員長と司会を務めていただいている。


私事ながら、小紙の親会社で「有料老人ホームの入居者募集広告」を手がける広告会社、株式会社エスコミュニケーションの新聞や雑誌の有料老人ホーム訪問企画でも数々力を貸していただいた。入居の高齢者には絶大の人気で、何枚も色紙を求められても心良く応じていただいた。


自らの少年時代の満洲での戦争体験から平和への思いは人一倍強く、最後の著作となった2021年1月発行の自叙伝『送別歌』(発行・株式会社ユニコ舎、本体1,600円+税、☎03-6670-7340、E-mail info@unico.press)には「平和は一国だけではつくれません。満州でコスモポリタンに育ち、戦後、日本に入ってきた外国映画によって異文化を知った私は、それぞれの民族には文化があり、共存し、助け合うことで平和はつくることができると肌で感じています」の一文が収録されている。


ところで親会社の16年前の事務所移転を祝って届けていただいた大型のポトスの植木鉢は今も事務所の入口で来訪者を歓迎している。


(日本シニアリビング新聞電子版 編集長/江辺聡)

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