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『史上最悪の介護保険改定?!』岩波書店より6月発売

2000年に介護保険制度がスタートして今年で23年。

2005年(平成17年)に第1回の改定が行なわれて以降、3年に1度改定が行なわれ、2024年度(令和6年)の第7回の改定に向けて、政府の社会保障審議会介護保険部会では、昨秋から改革案が検討されている。


厚労省の統計では、介護保険サービスを受けた国民は約638万人。自己負担分をあわせた介護保険総費用額は11兆291億円で介護保険の準市場は14兆円と日本の高齢者ケアの質は世界に誇るレベルに達しているとも言われている。


ところで、日本の75歳以上の後期高齢者は2000万人。

これまで、後期高齢者の医療保険には、圧倒的多くの人の自己負担1割と現役並の所得のあるごく1部の人に限られる3割負担が定められていたが、2022年(令和4年)10月より、75歳以上の約20%を占める約350万人が新たに2割負担に変わった。


国は介護保険についても2割負担の人を増やそうとしている。政府の改定案の骨子は、


①利用者自己負担率1割を標準2割に、さらに所得に応じて3割に

②要介護1・2通所介護と訪問介護を介護保険からはずして総合事業に

③ケアプランの有料化

④福祉用具の1部をレンタルから買い取りに

⑤職員の配置基準を利用者3人に対して1人をロボットの導入で4人に


というものである。


こうした改定案に対して、6月、岩波書店の岩波ブックレットNo.1079として発行されたのが、上野千鶴子、樋口恵子編『史上最悪の介護保険改定?!』である。


編者の1人上野千鶴子氏は1948年(昭和23年)生まれで、東大名誉教授、『おひとりさまの老後』(法研出版)などの著書で知られる社会学者で、本書の「はじめ」で、「今度の『介悪』は介護保険が『危ない!』どころか、『使えなくなる!!』」と警鐘を鳴らす。


介護サービスを受ける高齢者や介護業界にたずさわる人のみならず、「介護保険があるおかげで、あなたは安心して親をひとりで置いておけるのだし、あなた自身も親から離れていられるのだ。そして将来あなたが歳をとったときに安心して暮らせるのは介護保険のおかげなのだ」と編者が言うように若い人にも読んでもらいたい一冊だ。

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