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連載コラム⑬介護コンサルタント高山善文「費用の理解と最新トレンド」

 高齢者ホームを選ぶ際には、いくつかの重要なポイントがあります。立地とアクセス、設備やサービス、費用などはもちろんのこと、筆者が特に推奨するポイントは、「将来的なケアの変化に対応できるかどうか」です。これは、高齢者の健康状態が変化しやすいためです。ホーム選びの際は要支援の状態かもしれませんが、入居後に要介護状態になる可能性も考慮し、介護レベルの変化に応じたサービス提供が可能か、専門の医療スタッフとの連携があるかなどを確認することが重要です。さらに、現在通院中または服薬中であれば主治医の意見も参考にするとよいでしょう。

 

 高齢者向けの住まいを選ぶ、費用についての理解は非常に重要です。介護保険三施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護医療院)や有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅では、まず介護サービスの費用が介護保険によって一部カバーされます。つまり、介護が必要な場合、費用の一部(1割〜3割)は自己負担となり、残りは介護保険で支払われます。


 次に、住まい・食事・追加の介護費用について、これらは入居者の全額自己負担となります。つまり、ホームでの生活にかかる費用(部屋の賃料、食事代、追加で必要な介護サービスなど)は、すべて入居者が支払う必要があります。このように、高齢者ホームの費用は「公的負担(共助)」と「自己負担(自助)」の組み合わせで構成されています。ホームの質や提供されるサービスのレベルにより費用が異なるため、これらの点をしっかりと考慮することが重要です。


 介護現場では、数はまだ少ないものの、デジタル技術の活用、サステナビリティへの配慮、多様なライフスタイルのサポート、パンデミック後の対応など、最新のトレンドが確実に導入されています。特に、デジタルツールの活用やAIによる健康管理、環境に配慮したホーム運営、感染症対策などは、現代の高齢者ホーム選びにおいても重要な要素となりつつあります。


 これらの要素を総合的に検討し、利用者やその家族にとって最適な選択を行うことが重要です。建物の豪華さだけでなく、利用者の健康、安全、精神的な安定を考慮した総合的な判断が求められます。じっくりと検討する時間をかけることが必要ですが、同時に行動を迅速に進めることも大切です。まずは問い合わせから始め、体験入居などを利用してみることをお勧めします。


たかやま・よしふみ/1966年生まれ。

介護現場での豊富な経験を基に、介護事業者のコンサルティングを手掛ける。講演や執筆

活動に加え、介護支援専門員、東京都福祉サービス第三者評価者としても活動。ティー・オー・エス株式会社代表取締役。


【主な著書】『これ一冊でわかる!介護の現場と業界のしくみ』(ナツメ社)、『図解即戦力 介護ビジネス業界の仕組みと仕事がこれ1冊でしっかりわかる教科書』(技術評論社)など。


一般の方向けに介護のしくみをわかり易く説明した『介護のしくみチャンネル』をYouTube にて配信している。

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